五島美術館の国宝・源氏物語絵巻
五島美術館は世田谷区上野毛にある美術館です。
敷地面積は6千坪と言われており、建物の美しさと広大な日本庭園でも有名です。
自然に溢れた庭園は、息抜きに庭だけ訪れても良いと思わせるものになっています。
東急電鉄の元会長、五島慶太氏が戦前から収集した日本と東洋の古美術品が数多く収蔵されています。
その中には国宝5点、重要文化財が50点含まれています。
その国宝の1つが、源氏物語絵巻なのです。
源氏物語絵巻は千年以上も前に描かれたものであり、現存しているものはその一部です。
名古屋にある徳川美術館には絵15面、詞書(ことばがき)28面が所蔵されており、残りの絵4面と詞書9面が、この五島美術館に所蔵されています。
詞書というのは、物語の内容が書かれているものです。
ご存知のように、源氏物語は平安時代に紫式部が書いた、世界最古の長編小説です。
光源氏という美しい公家が主人公で、その一生を描いています。
「源氏物語絵巻」は、源氏物語が書かれてから150年後にその物語を絵画化したものです。
最初は絵師「藤原隆能」により作られたとされて、「隆能源氏」とも呼ばれていましたが、その後の研究で、複数人のグループで作られたものだということが分かって来ています。
この絵巻は墨書きした下絵に、色を付けて行く「作り絵」という手法で描かれています。
屋内の様子を表すために、屋根や壁を描かない方法をとっており、また、高い所から見下ろしている感じに描かれています。
人物は引目鉤鼻(ひきめかぎばな)という方法で描かれていて、下ぶくれの顔に、一本の細い線で描いた目、鼻は小さく「く」の字に描き、口はおちょぼ口です。
五島美術館の「源氏物語絵巻」の4面の絵はどのような場面なのでしょうか。
4面のうち2つは、源氏物語38帖「鈴虫」の場面です。
3面は源氏物語39帖「夕霧」で、源氏の息子の夕霧の話しです。
4面は源氏物語40帖「御法」で、源氏の妻「紫の上」の臨終を描いています。
巻物の状態だと傷むので、絵と詞書を切り離し、それぞれ桐箱製の額に収められています。
この源氏物語絵巻は、頻繁に展示されるものではありません。
毎年ゴールデンウィークあたりに、わずか1週間程しか展示されません。
是非見たい場合は、前もって展示される日を確かめて、心して待っているという感じになるでしょう。
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