出光美術館の国宝・「伴大納言絵巻」

出光美術館の国宝・「伴大納言絵巻」

出光美術館は、東京の丸の内、オフィス街のど真ん中にある帝劇ビルの9階にある美術館です。
休憩所の窓から見える、緑の木々に囲まれた皇居外苑の美しさはよく知られています。

 

この美術館は、出光興産の創業者である出光佐三が収集した、日本や東洋の古美術品を中心に、西洋近代美術の絵画等1万件を所蔵しています。
その中には国宝2点、重要文化財52件が含まれています。

 

国宝は平安時代の「伴大納言絵巻」と手鏡「見ぬ世の友」です。

 

「伴大納言絵巻」は平安時代に描かれたもので、平安初期に起きた「応天門の変」を題材にした、絵巻物になっています。
日本四大絵巻(すべて国宝)の1つとされていて、上中下巻あります。

 

実際に起きた「応天門の変」が、何百人もの庶民も登場して描かれる絵巻です。
応天門の炎上から始まりますが、庶民が逃げ惑う様子が事細かに描かれています。

 

中巻では子供の喧嘩から「応天門の炎上」の真犯人が分かるというストーリーになっています。
子供が取っ組み合いをしていて、そこへ親が出て来て、子供を思いきり蹴飛ばすシーンがあり、それを回りの庶民があっけにとられて眺めている様子が描かれています。
このシーン等は今で言う四コマ漫画の手法を使って描かれていると言われています。
じっくり見れば見るほど、細かい描写が面白い絵巻です。
応天門の事件に関する部分だけでなく、庶民の暮らしまでを垣間見る感じで面白いのです。

 

ただこの「伴大納言絵巻」の展示は、保存管理の関係で当分開かれないかもしれません。
2016年の開館50周年には中巻が展示されました。

 

出光美術館はこの国宝だけが見どころではありません。
2019年にアメリカのプライス財団(日本美術の収集で知られている)から伊藤若冲の代表作「鳥獣花木図屏風」や、円山応挙の「虎図」、酒井抱一の「三十六歌仙図屏風」など、日本美術を代表する名作を購入しました。
買い戻した、という感じかもしれません。

 

若冲の絵は一種独特の個性的な画風、モダンでさえあるので、ここ何年か前よりかなりの人気になって来ています。
とくに代表作「鳥獣花木図屏風」は、大きな白い象を真ん中に、様々な動物がひしめいていて、かなりインパクトがあります。
しかもこの絵は「枡目書き」という技法を使っており、1つの枡目が1センチ四方で、それが86000個も使ってあるようです。

 

2020年9月半ば以降には、伊藤若冲の展覧会が開かれる予定になっています。

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