根津美術館の国宝・燕子花図屏風

根津美術館の国宝・燕子花図屏風

東京の南青山にある根津美術館は、美しい竹垣に囲まれた日本家屋の趣きと、モダンな雰囲気が合いまった、建物自体も斬新な美術館です。
しかも広大な日本庭園があり、東京のど真ん中とは思えない深い緑と静寂を味わうことも出来ます。

 

国宝7点、重要文化財87点をはじめ、7,400点もの東洋の古美術品を所蔵している日本屈指の美術館として知られています。
その中の国宝、尾形光琳作の「燕子花図屏風」(カキツバタズビョウブ)は、必見です。

 

ですがこの「燕子花図屏風」は毎年大体4月半ばから5月半ばの約1ヶ月間程しか展示されないものです。
美術館の日本庭園に見事に咲き誇る燕子花(カキツバタ)と、時期を同じくして展示されることになっているのです。
国宝の「燕子花図屏風」と、実際の燕子花を同時に鑑賞することが出来るので、毎年人気となっている展示会なのですが、今年は新型コロナの影響で中止となってしまいました。

 

「燕子花図屏風」は、江戸時代の琳派を代表する絵師、尾形光琳によって描かれました。
この作品は平安時代の「伊勢物語」の第九段「八橋」に出てくる、川のほとりに咲く美しい燕子花のみにスポットライトを当てて描かれています。

 

屏風は六曲一双で、背景は華麗な金色(金箔を1000枚以上使っているとの事です)です。
そこへ大胆に、またリズミカルに燕子花が群生している様子が描かれています。
花の色は群青(ぐんじょう)、葉は緑青(ろくしょう)で作られた顔料が使われています。
群青は原石がアズライト、緑青は原石がマラカイトで作られており、江戸時代はもちろんのこと、現代でもかなり高級で価値の高いものです。
それを惜しげもなく使って描かれているので、300年以上も前に描かれたとは思えない程、色が鮮やかです。

 

リズミカルに描かれた燕子花は、よく見ると全く同じ部分があります。
それは尾形光琳が大きな呉服屋の息子でしたので、着物の型紙を使って、パターン化した模様を描いたとのことです。
かなり斬新なアイデアを用いていたということが分かります。

 

左隻(させき)においては、燕子花は少し上から見た構図になっており、花の根元は見えなくなっています。
一方右隻(うせき)の燕子花は少し高い位置に水平に描かれており、この両方が並ぶことによって、絵に奥行きが生まれています。

 

金色、群青、緑青の3色だけしか使っていないのにもかかわらず、豪華でインパクトある傑作となっています。

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