三井記念美術館の国宝・雪松図屏風

三井記念美術館の国宝・雪松図屏風

三井記念美術館は東京の日本橋にある三井本館の中にあります。
この三井本館は1929年にアメリカの設計会社によって竣工された、重要文化財に指定されている建物です。
ベネチア産の大理石が使用され、アメリカ型古典主義建築であり、その重厚さは目を見張るものがあります。

 

夜はライトアップもされて、一層、荘厳な感じになります。
現在も一階は銀行として使われており、何年か前にはテレビドラマの「半沢直樹」にも使われましたので何となく覚えておられる方もいるかもしれません。

 

三井記念美術館は、旧財閥三井家の方々が収集した美術工芸品を約4000点あまり所蔵しています。
茶道具が半数を占めていますが、それに絵画、書跡、刀剣、能面等様々な名品が揃い、その中には国宝6点、重要文化財75点、重要美術品4点が含まれています。

 

その中の国宝に指定されている、円山応挙作の「雪松図屏風」は素晴らしいの一語に尽きるでしょう。
円山応挙は写実的な画風で、江戸時代の山水画や花鳥画の歴史を塗り替えたと言われています。
応挙は貧しい農家の生まれでしたが、奉公に出た先で絵の基礎を学び、若くしてパトロンを得る程の絵師になりました。
さらに江戸時代の豪商だった三井家の庇護を受け、三井家の注文により描かれたのが、「雪松図屏風」(六曲一双)でした。

 

「雪松図屏風」は、高さ155.5cm、横362cmのかなり大きな屏風です。
描かれているのは、冬の朝に雪が降り積もった松の絵です。
右隻(うせき)には斜め上にかけてはみ出すように大きく力強く松が描かれており、雄松と言われています。
一方左隻(させき)には雌松と言われているように、丸みをおびたやさしい趣きの松が描かれています。その左側にはまだ枝の細い若い松が、まるで子供のように寄り添っています。

 

松の幹や枝を覆っている雪ですが、これは白い顔料で描いたものではなく、紙の白地を残しているものなのです。
塗り残すことによって雪の白さを出しているとは思えない程、リアルで、積もったばかりのやわらかい雪が表現されています。
松の針葉は、墨で1本1本が丁寧に描かれており、触ったら痛いような針葉の間に雪がしっかり積もっている感じが分かります。

 

背景は金地で、絵の下の部分には砂子という、金箔を粉にしたものがまかれています。
その砂子が朝の太陽を受けてきらきらと輝いている雪の様子を表しており、凛としたすがすがしい冬の朝を感じさせます。

 

この「雪松図屏風」は今年の夏には展示されるはずですので、スケジュールを確認して見に行きましょう。

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